ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動
ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動は、学習指導要領の家庭科で学ぶ内容の1つに位置付けられています。
この学習をとおして、家庭生活を健康で文化的に営むことのできる能力、すなわち生活課題を自分たちで見つけ、解決し、生活を創造することのできる能力を身につけていくことが大切です。
そのためには以下のことが必要です。
(1)日常の家庭生活に関心をもち、生活を見直す。
(2)生活の根底にある原理・原則について科学的に理解する。
(3)生活課題を解決するために、実際の生活の場で実践できる知識・技術・技能を身につける。
(4)どうすればよいのか判断して意思決定し、よりよい生活を創造する。
家庭科では家庭生活に関することを中心に学習をしていますが、個々の家庭や生活の環境や条件は同じではありません。
また、今日の家庭・家族を取り巻く少子高齢化、国際化、情報化、科学技術の進展、環境問題への関心の高まりなど社会の状況の変化は激しく、刻々と私たちの生活に影響を与えています。
いつの時代にも生かすことのできる知識と技術を身に付け、自分らしい生き方をするためには、自らが主体となり、受身でない学習をすることが必要です。
つまり、自分の家庭や地域の生活にあてはめて考え、問題点を見つけ、その問題を解決するために家庭科の学習を生かして、自分自身の力で創意工夫しながら、実践するのです。この実践の場となるものが、ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動です。
そして、このような体験的・実践的な学習は勤労の尊さや奉仕の精神を学ぶ機会となります。
みなさんの一人ひとりが自分の家庭生活を見つめ、その生活の充実向上を目指す活動です。自らが主体的に活動する問題解決型学習です。
家庭科の学習で学んだことを役立てることを目的とし、自分の生活に活用できそうなこと(生活周辺の事象)を見つけ出し、まず課題として取り組むことが適当かどうか検証します。
次に課題解決を目指して、計画・実施・反省・評価へと段階をふんで、学習を進めていきます。
この学習は、個人が実践して進める研究です。家族や友人・家庭クラブ員の協力を得ることはあっても、最終的には自分で考え、行動し、課題を解決していくことが大切です。
ホームプロジェクトを実践することで、家庭科で学習した知識と技術をより確実なものにし、生活を総合的に考え、問題を解決する能力や実践的態度が身に付くことでしょう。
ホームプロジェクトが個人の活動であるのに対して、学校家庭クラブ活動はグループや学校単位で多くの友達の力を結集して、学校や地域生活の充実・向上をめざす実践活動です。すなわち、家庭科の学習を生かして、クラブ員が主体となり顧問の先生(家庭科教諭)の指導や助言を受けて行う学習活動です。したがって、近年はスクールプロジェクトとも呼ばれております。また、学校家庭クラブ活動の実践活動において、思考力、判断力、応用力、創造力などを育てるとともに、自らが考え判断してチャレンジする態度を身に付けるなど、貴重な学習体験の場ともなります。
一人ひとりの力は小さくても、みんなで協力すれば大きな力となり、大きな活動ができます。
ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動は、高等学校の家庭科において「生きる力」を育む実践活動であり、授業内で行われる講義や実験・実習等とは異なる特色ある学習方法です。個人の実践活動であるホームプロジェクトを学校や地域に広げたいと考えた場合、一人の力ではおのずと限界があります。
また、自分の実践活動をみんなに知ってもらい、もっと発展させたらよいのではないかという時には、家庭科の先生や学校家庭クラブ活動の仲間に相談するなどして、活動を広げていくことができます。一人よりは二人と仲間が増えることは、実践活動の励みになると同時に、個人の意識と家庭クラブ員の意識が活動に相乗効果をもたらす可能性が含まれています。